推敲、めんどくさいのでナシ

とある仕事の絡みでTVシリーズの『魁!!男塾』を観る機会があったのだけど。
『男塾』での須田さんの筋肉描写は発明に匹敵するね。

『男塾』が始まる当時、須田さんは前作『北斗の拳』での筋肉描写のエスカレートぶりを反省してか、
「この作品ではできるだけ簡単にしようと思うんだ」
なんてことを、言っていた。
その心は、『北斗の拳』では、当時のTVアニメとしては描写が細かくなりすぎて歯止めが利かない状態になってしまって、非常に苦労したことから、とのことであった。
その上で。
第一話を観た時の私の感想は「ウソばっかり」であった。

確かに影の付け方は一号影だけだったり、線の整理の仕方も単純にはなっていたけれど…
…高度です。
やってることがものすごく高度。

確かに、線を整理すれば、それを理解していない人にでもそれなりには描けるかもしれないけど、その整理の仕方、って難しい。
キャラクターのインパクトを残しながら、ってのはなおさら。
TVアニメの『男塾』のキャラ、ってのはそんなキャラだった。
少なくとも当時の私には「もっと勉強しなきゃ」描けない世界だと思わされるに十分な仕上がりだった。

番組開始当初は原作を意識していたキャラ作りだったのだけど、そこはそれ、TVシリーズってのは生き物だから、シリーズが進んで行くうちにキャラの描写だって変わってくる。
そして、簡略化していた筋肉描写も、どんどん洗練されて行くわけで。

こうなってくると、もう、筋肉の理屈がわかっていないと理解できない領域に入って行くわけで。
事実、私の担当回を見れば一目瞭然。
表面上は須田さんのお手本を意識して入るものの、その根本は、その意味をまったく理解できていないから、お粗末な仕上がりも甚だしい。
骨格と筋肉の構造をなんとか成立させるので精一杯。
加えて、演出的なことも、感覚でしかわからないレベルだから(つまり、カット単位でしか考えられなかった)、テンポが悪いったら、もう…
…俺のことはどーでもいーか。

話を元に戻す。
「今回は楽にやろうと思うんだ。」
という趣旨の言葉を言った須田さんは、確かにそれを実行していた。
確かに絵作りはライトに仕上げてたもんね。
でもそれは……だれにも真似できない領域のことだった。
わかってない人には描けない。
孤高の領域に達してしまった。

わかりやすい例をあげると、TVシリーズの『男塾』の29話(『男塾』での須田さんの最終話)なんかはその筆頭。
立体と筋肉の構造を理解した上での簡略化、の一つの頂点。
と、言っていいと思う。
無理ですよ、あんなの。
普通、描けない。

そのものズバリ、を描くのは、絵が描ける人間にとっては、じつは簡単なことです。
それをわかりやすく描く、わかりやすいように見せる技術、ってのが出来てる人ってのは、じつは少ない。

なんてことを、俺以外の誰かにもわかってもらいたいなー、と。
ちゃんとした「絵」っていうのはどーゆーものかというのを知ってもらいたい。

須田さんは今も、元気ですが、さすがにいいトシです。
せめて、もう少し、評価されてほしい。
生きているうちにさー。
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by mtfeather | 2011-12-09 05:54 | アニメのこと  

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